創発!アクティブ読書会のブログ

社会創発塾のメンバーを中心に月1くらいで開催される読書会のブログです。

読書会報告:「成りあがり」by 矢沢永吉

みなさま、暑い日が続きますね。
そんな暑さにも負けることなく、第12回読書会を行いました。

最近、読書会メンバーの中の「そろそろ自己啓発本、やめようぜ。てか意識高い系とか言われたくないよね。。。」的なノリのもと今回はメンバーの一人の強力な推薦があり、課題図書は『成りあがり』(矢沢永吉に決定。

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

 

「マジか、まさかのタレント本か・・・」という個人的な第一印象のもと、読書会が始まりました。
そして、黙々と読み進める一同。

読み始めた瞬間から繰り出される「マブいナオン」「ネカ持ち」などの時代を感じさせる独特の言葉遣い。
「なんか、夢だけは持っていこうぜ。そんな部分あるわけよ。その頃も。」など、現代のライトノベルを思わせるような、短文表現の連続。

なんと読みづらき哉!と思いきや、読み進めていくうちに、矢沢永吉の持つパワーというか熱量のようなものに飲み込まれていく。30ページも読み進めると、

「この本、パネェ。マジパネェ。」

ってな感じで、グイグイと本の中へ引き込まれていくのを感じる。


◆あらすじ◆

この本は、現在68歳の矢沢永吉が28歳の時に著した書籍である。(1978年初版)

彼の生まれは広島。育ての母が後妻だったが、母は矢沢が小さいころに出ていってしまう。
父も矢沢が小さいころに亡くなる。父が死んでからは親戚をたらいまわしにされ、
「人っていうのはそういうものだなぁ・・・」と世間の冷たさを感じながら育つ。

一方で、彼には祖母がいて、小学校中学校は祖母に育てられる。
父も母も彼にとってあまり記憶にないが、祖母が受け入れてくれた。彼の自己肯定感は彼女がよりどころとなっている。

矢沢永吉は自分の夢に対してはっきりと向かっていくことになるのだが、その原体験はこのころにあるように感じられる。

幼少期にお金がなくて惨めな思いをして、それにより劣等感などを持っているが、
一方で「俺はこんなところでこんなことをしている人間ではない!」という強力な思いもある。

中学時代には自分から進んで、バイトをしお金を稼く経験をする。
このころに知ったデールカーネギー『人を動かす』は彼の愛読書であり、何度も読み込んだそうだ。
そして、中3の思春期に初恋を。そして文通からの失恋という、甘酸っぱい経験もしたそうだ。

 

高校から上京し、彼は音楽活動にのめりこんでいく。

一番最初のバンドが出来上がるまで、やる気はあるので、集められる仲間を集める。何とか人前に出て歌う。
「自分の実力を知り、行動することがビッグになる」ために必要だと言い聞かせる。
彼の熱量はすさまじく、例えばめぼしいメンバーを他のバンドから引き抜く。バンドのメンバーが去っていく中で、メンバーの両親へ頼み込み、バンドのリーダーとしてメンバーを集め、圧倒的な熱量で活動していく。

ワンピースのルフィを連想させるような破天荒さと、一方でがむしゃらに音楽にのめりこみ、実力をつけていく姿がしっかりと描かれている。


このころ、作り上げたバンド「ヤマト」はディスコブームの終わりとともに一度解散することとなる。
そして、彼をスターダムへと押し上げる「キャロル」を結成する。

本当の友達というのは一回別れなきゃいけない。
それで再び会うことで、つながる。
ーーーヤマトの解散を振り返り、彼はこう語っている

そして、家族について、ヤマトでの活動からキャロルでの活動にあたり、彼には家族ができた。苦しい時期を共に乗り越えられる妻である。
そして、妻が身ごもったくらいのタイミングで、なんと幼いころに出ていった母と再会。
貧乏なんだけれども、母に対して1000円の寿司でせいいっぱいのおもてなしをする。
しかし、そんな母親も若くしてこの世を去ってしまう。

キャロルが始まって、バンドは一気にスターダムを駆け上がっていく。
一方で、バンド内の人間関係がどんどんこじれていく。
ある日、メンバーに活を入れ、「よっしゃ。気合を入れてもう一度やり直そう」という話をしようとした瞬間、バンドのメンバーから解散の意思を伝えられる。

さらに、バンドを組んでいく中で信頼している人に裏切られる。
芸能界の「ミカン箱の上の」商売の中で印税や違約金などのビジネス周りの汚い人間関係にも辛酸をなめさせれているそうだ。

「いまでもキャロルを思い出すと口が苦くなる」
彼は本の中でそのように振り返っている。

 

そして、矢沢永吉がソロとして活動を始める新たな出発が描かれつつ、彼の成功哲学が紹介される。

矢沢の3ステップの法則
 ・散々な目に合う
  ⇒はっきりとした目的意識を持つ
   ファンは正直
   はぐれ者が反撃して成り上がる
   レコード会社へ頼るな
 ・落とし前をつける
 
 ・余裕

最後に、この本のは糸井重里氏のコメントが載っている部分も非常に面白い。

糸井重里氏のコメント
彼はスターでも人工衛星でもなく、スーパースターである。
(圧倒的な熱量の塊である)はぐれている奴が読むべきである。

人間の一生とはトーナメントではなく、リーグ戦である。
「成り上がり」の対義語「ぶら下がり」


その後、読書会メンバーによる感想戦の中では、天才はなぜ生まれるのか?
天才と秀才はどう違うのか?生き方の効率のよさなど、ライフデザインに関連した激論がありました。
生き方の「熱量」というキーワードを感じさせる読書会でした!

天才! 成功する人々の法則

天才! 成功する人々の法則

 
天才はあきらめた (朝日文庫)

天才はあきらめた (朝日文庫)

 

 



読書会開催報告:外国人が熱狂するクールな田舎の作り方

 

更新が途切れてしまいました・・・。
(まさか、開設後1回で途切れてしまうことになるとは私以外だれが予想したか・・・)

 

さて、今日は4人です。しかしながら、6期から加わってくれるメンバーも交えての読書会です。
会場は変わらず早稲田駅から徒歩3分のおしゃれな「カフェあかね」。
何度も来ていると段々おしゃれに見えてくるから不思議。。。

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今日の課題図書は『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』(山田拓)です。

南牧村でのプロジェクトや地域との連携はメンバーの関心の高いトピックなので、盛り上がること間違いなしです。

 

以下が書籍の要約です。

著者の山田さんはクールな田舎を発信する事業「美ら地球」を行う。

その事業が起こるまでの過程や困難をわかりやすく、親しみやすい語り口で語っている。

 

■第1章:グローバルカンパニーと世界放浪を経て飛騨へ

 ・pwcへ入社。アメリカでコンサルタントして勤務
 ・フランスに籍を持つ企業でコンサルタント
 ・30歳の節目に世界各国を放浪したいとの思いを持ち放浪(美ら地球回遊記)
  ⇒・マチュピチュで、自分の生まれ育った国の歴史に興味を持つ
   ・世界を回ったが、逆に自分たちの国のことを全く知らない
 ・移住しようとしても日本の田舎へは「住めない」
  (空き家なのに住めず、空いていない状況)
  ⇒知人の紹介で、飛騨古川を教えてもらい住もうとするも拒否

■第2章:日本の田舎は世界に通じる
 
・この章は田舎に住み、同志を見出し、権力を握るまでの序章
 ・有力な観光協会の会長に見いだされ、「戦略アドバイザー」へ就任
 ・当時では画期的だった、インバウンドや地域ぐるみの環境による取り組みを計画
 ・計画したところでリーダー交代で、自分も権力を失う

 

■第3章:タダの景色でお金を稼ごう

 ・計画は頓挫。計画はあれども実施できる人やりたい人がいない
 ・「それならば」と自分で飛騨高山サイクリングツアーを起業
 ・美しい古風な街並みは年を追うごとに崩れて(取り壊し/再開発)いく

  ⇒ただの景色、街の暮らし、アマガエル、そういう何気ないものにこそ価値が宿る
 ・口コミで評判が立ち、ツアーがじわじわと広がっていく

 

■第4章:大変だけど楽しい田舎暮らし

 ・田舎暮らしの実態について書いてある章
 ・スローではあるが、やることはいろいろで忙しい
 ・モノではない、心の豊かさがある

 

■第5章:企業経営の手法を地域経営に

 ・成功はしているが、それでも地域の縮小を止めるにはあまりにも力が足りない
 ・先行者であるがゆえに、利益もあるが生まれてくる課題も新しい
 ・経営のためには、どういう目的でやるのかとHow(どのように実現するのか?)に
  こだわるべき

 

■第6章:日本と世界の田舎をクールに

 ・もっとも足りない資源は人材
 ・方法(What)もお金出してくれる支援も実はある
 ・足りないのは「コミットしてドライブをかける人材」
 ・別の田舎から「私がほしい」と言われることがあるが、そうではない。
  ⇒君たちがコミットして実現するんだ

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

 

 

第1回読書会報告「選択の科学~コロンビア大学ビジネススクール特別講義~」

早速、ブログ的には初回の読書会の模様を紹介していきたいと思います。

いろいろ試しながら、面白く・それでいてためになるブログを目指していきますので、3か月間くらい優しくおつきあいくださいー。

朝10時の定刻通りに6人くらいのメンバーが参加。
場所はいつも通り早稲田の「カフェあかね」、早稲田駅から徒歩3分の神立地にありながら、普通に歩いているとなかなか気づかないという不思議な空間です。


今回のテーマ本は「選択の科学」という、心理学・経済学・社会学の間くらいにある感じの本です。

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

 

いつも通り、一人ずつ自分の読むべき章を決め、黙々と読み始めます。

黙々と自転車で課題図書を買いに行ったり・・・

黙々と外に出て本を読み、ヨーロッパのカフェごっこをし始めたり・・・

黙々とポップコーンを作りだしたり、思い思いのスタイルで読書会が進みます。

そんな静寂の中、言葉の魔術師「かずくん」いきなり「洗濯の科学」ネタをぶっこんでくるファインプレー。

アリエール 洗濯洗剤 パワージェルボール3D 詰め替え 超特大 34個入

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静かなカフェ内に時折爆笑が起こります。。。

さて、自分の担当する章が読み終わったところで、みんなで自分の章を順番に説明していきます。
この担当の章を読み、順番に説明していくという手法が「アクティブブックダイアログ」と呼ばれ、この読書会の特徴です。

1章しか読まないのに、以下のような紹介メモとディスカッションまでできてしまう。
そんな効率的な手法です。


今回の内容のまとめ:

オリエンテーション・第1章:選択は本能である

・作者(シーナ)の人生について
彼女のシーク教の厳しい掟とさらに厳しい両親の意向で、シーナの人生は、あらかじめ決まっているはずだった。
しかし、1971年にカナダ経由で両親とアメリカンドリームをつかもうとアメリカに渡り、あることに気づく。それが「選ぶ」というものだった。
・選択とは、自分の力で自分自身や自分の置かれた環境を自分の力で変える能力の
こと、自分で選択できている、と自分で認識できることが大事
・選択の自由度に対する認識が健康に大きな影響を及ぼし、選択できていると考えている人のほうが健康的である

■第2章:集団のためか、個人のためか

・結婚する人を宗教や親同士などの環境要因で強引に決め、困難を乗り越える、ということが美徳とされる場合、その方が恋愛結婚に比べて結婚生活が長くなる
・文化によって選択・権限の考え方が異なる
アメリカ→部下に権限を与え、選択させることでうまくいく
アジア→権限を与えすぎると本来上司が判断をすべきことを部下にさせる、という認識を持たれてしまう

東ドイツでは、自由主義を良いと思わず、社会主義を懐かしむ声も。
アメリカ→やらない自由を突き詰める
東ドイツ→定期的に選択肢が与えられる
・選択に対する考え方は教育によるものが大きい

■第3章:「強制」された選択
・人はほどよく「人と違っている状態」を好む

紹介されている効果①:平均以上効果
⇒世の中の9割方の人が自分は上位10%に入っていると思っている。
例えば、ipodの購入者へのアンケートでは自分は流されずに、他人とは違い、これをあえて選んだ、と考えている(みんな買っているけど)
・自分のことを熟知しているからこそ、同じような言動をする人はいない、と人は
思っている(みんな似たようなこと言うけど)
・その他大勢と区別されるほどには特殊でいたくないが、定義可能な集団に属しているときに居心地がいい

紹介されている効果②:認知的不協和の解消
止むを得ずした行動に対して、自分を辻褄のあった行動であるように「考えを修正」するようになる。
ex) 「つまらなく、報酬のない仕事」をしている人は「つまらなく、報酬のある仕事」をしている人に比べて、「つまらないけど、やりがいがある」という言う言い訳をしがち。(つまらないことをやっている自分の認識を変えがち)
・相手から見た自分と自分が考える自分を一致させたい思いにかられる。選択は人からも影響を受ける

■第4章:選択を左右するもの
・自動システム(無意識,本能)と熟慮システム(意識)の2つのシステムで選択している
ex)マシュマロテスト
監視がなくなった時にマシュマロを食べるかどうかを子供を対象に行った。
・経験則を高めるために、2システムを葛藤させることで選択の力を高められる
・物事を捉えるフレームで違う考え方をすることにより、見方が変わって来る選択する際に、フレームを変えて捉えることが大事
ex)コカコーラ ドリンク市場:45%のシェアの見方を変えた

■第5章:選択は創られる

・ささいな違いでも人は選択しているつもりになっている
選択する時の要素に色やパッケージから選んだりすることもある
・単純接触効果
普段から触れているものに好印象を抱く傾向がある
・ミネラルウォーターの魔法 = ブランド力によるもの
水の違いなどさほどわからないのに、与えられる情報に意味的価値がある。
同じものなのに、同じ会社がブランドを使い分けて、いろんな層の人に商品を届け
ている。
・潜在意識に働きかけることによって、行動を変えられる

■第6章:豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
マジックナンバー「7±2=みんなが選びやすい数字」
・商品がなさすぎても多すぎても選びにくい
 ⇒選択肢は5個~9個用意しよう!!
あまりにも多すぎる選択肢は、選ぶ過程の中で幸福度が下がってしまう
・経験がある分野のほうが難易度の高い選択をしやすい
 ex)服が好きな人は30種類のシャツの中から1種類を選べるが、
   あまり興味がない人は3種類くらいからのほうが選びやすい

■第7章:選択の代償 (選択の辛さ)
・究極の選択:「ボートから親か恋人を落とすか」「延命治療」など
・人間は選択の責任を押し付けられたくない
・選択を放棄する、という選択もある
 ex)あらかじめルールを決めておき、粛々とそれに従う。他人にゆだねるなど


■最終章:選択と偶然と運命の三元連立方程式

・選択について、自分が持っている思い込みを検証することは大切
・選択の力を最大限に活用するには、その不確実性へ向かい合うための武器である

 

内容のまとめは上記の感じでしたーーー。
ディスカッションで盛り上がったのは、7章の「重たい決断を他人にゆだねる」のは正解か?というところでした。

この本では、どちらを選んでも選んだことの責任がつきまとうような選択(例:延命治療の終了など)は、だれでも避けたいと考えがち。
と言っているのに対して、「後悔しない決断、決断したこと、決断した自分を肯定する」ことが大事ではないか?という意見が出ていましたー。

読書会の後は、カフェのマスターのヒデさんからビール(有料)がふるまわれて、日が暮れるくらいまで飲み会をしてましたー!

 

次回は10月28日なので、もしもご興味のあるかたはコメントください。

 

 

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)