第1回読書会報告「選択の科学~コロンビア大学ビジネススクール特別講義~」
早速、ブログ的には初回の読書会の模様を紹介していきたいと思います。
いろいろ試しながら、面白く・それでいてためになるブログを目指していきますので、3か月間くらい優しくおつきあいくださいー。
朝10時の定刻通りに6人くらいのメンバーが参加。
場所はいつも通り早稲田の「カフェあかね」、早稲田駅から徒歩3分の神立地にありながら、普通に歩いているとなかなか気づかないという不思議な空間です。
今回のテーマ本は「選択の科学」という、心理学・経済学・社会学の間くらいにある感じの本です。
選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)
- 作者: シーナアイエンガー,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/07/10
- メディア: 文庫
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いつも通り、一人ずつ自分の読むべき章を決め、黙々と読み始めます。
黙々と自転車で課題図書を買いに行ったり・・・
黙々と外に出て本を読み、ヨーロッパのカフェごっこをし始めたり・・・
黙々とポップコーンを作りだしたり、思い思いのスタイルで読書会が進みます。
そんな静寂の中、言葉の魔術師「かずくん」いきなり「洗濯の科学」ネタをぶっこんでくるファインプレー。
静かなカフェ内に時折爆笑が起こります。。。
さて、自分の担当する章が読み終わったところで、みんなで自分の章を順番に説明していきます。
この担当の章を読み、順番に説明していくという手法が「アクティブブックダイアログ」と呼ばれ、この読書会の特徴です。
1章しか読まないのに、以下のような紹介メモとディスカッションまでできてしまう。
そんな効率的な手法です。
今回の内容のまとめ:
■オリエンテーション・第1章:選択は本能である
・作者(シーナ)の人生について
彼女のシーク教の厳しい掟とさらに厳しい両親の意向で、シーナの人生は、あらかじめ決まっているはずだった。
しかし、1971年にカナダ経由で両親とアメリカンドリームをつかもうとアメリカに渡り、あることに気づく。それが「選ぶ」というものだった。
・選択とは、自分の力で自分自身や自分の置かれた環境を自分の力で変える能力の
こと、自分で選択できている、と自分で認識できることが大事
・選択の自由度に対する認識が健康に大きな影響を及ぼし、選択できていると考えている人のほうが健康的である
■第2章:集団のためか、個人のためか
・結婚する人を宗教や親同士などの環境要因で強引に決め、困難を乗り越える、ということが美徳とされる場合、その方が恋愛結婚に比べて結婚生活が長くなる
・文化によって選択・権限の考え方が異なる
アメリカ→部下に権限を与え、選択させることでうまくいく
アジア→権限を与えすぎると本来上司が判断をすべきことを部下にさせる、という認識を持たれてしまう
・東ドイツでは、自由主義を良いと思わず、社会主義を懐かしむ声も。
アメリカ→やらない自由を突き詰める
東ドイツ→定期的に選択肢が与えられる
・選択に対する考え方は教育によるものが大きい
■第3章:「強制」された選択
・人はほどよく「人と違っている状態」を好む
紹介されている効果①:平均以上効果
⇒世の中の9割方の人が自分は上位10%に入っていると思っている。
例えば、ipodの購入者へのアンケートでは自分は流されずに、他人とは違い、これをあえて選んだ、と考えている(みんな買っているけど)
・自分のことを熟知しているからこそ、同じような言動をする人はいない、と人は
思っている(みんな似たようなこと言うけど)
・その他大勢と区別されるほどには特殊でいたくないが、定義可能な集団に属しているときに居心地がいい
紹介されている効果②:認知的不協和の解消
止むを得ずした行動に対して、自分を辻褄のあった行動であるように「考えを修正」するようになる。
ex) 「つまらなく、報酬のない仕事」をしている人は「つまらなく、報酬のある仕事」をしている人に比べて、「つまらないけど、やりがいがある」という言う言い訳をしがち。(つまらないことをやっている自分の認識を変えがち)
・相手から見た自分と自分が考える自分を一致させたい思いにかられる。選択は人からも影響を受ける
■第4章:選択を左右するもの
・自動システム(無意識,本能)と熟慮システム(意識)の2つのシステムで選択している
ex)マシュマロテスト
監視がなくなった時にマシュマロを食べるかどうかを子供を対象に行った。
・経験則を高めるために、2システムを葛藤させることで選択の力を高められる
・物事を捉えるフレームで違う考え方をすることにより、見方が変わって来る選択する際に、フレームを変えて捉えることが大事
ex)コカコーラ ドリンク市場:45%のシェアの見方を変えた
■第5章:選択は創られる
・ささいな違いでも人は選択しているつもりになっている
選択する時の要素に色やパッケージから選んだりすることもある
・単純接触効果
普段から触れているものに好印象を抱く傾向がある
・ミネラルウォーターの魔法 = ブランド力によるもの
水の違いなどさほどわからないのに、与えられる情報に意味的価値がある。
同じものなのに、同じ会社がブランドを使い分けて、いろんな層の人に商品を届け
ている。
・潜在意識に働きかけることによって、行動を変えられる
■第6章:豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
マジックナンバー「7±2=みんなが選びやすい数字」
・商品がなさすぎても多すぎても選びにくい
⇒選択肢は5個~9個用意しよう!!
あまりにも多すぎる選択肢は、選ぶ過程の中で幸福度が下がってしまう
・経験がある分野のほうが難易度の高い選択をしやすい
ex)服が好きな人は30種類のシャツの中から1種類を選べるが、
あまり興味がない人は3種類くらいからのほうが選びやすい
■第7章:選択の代償 (選択の辛さ)
・究極の選択:「ボートから親か恋人を落とすか」「延命治療」など
・人間は選択の責任を押し付けられたくない
・選択を放棄する、という選択もある
ex)あらかじめルールを決めておき、粛々とそれに従う。他人にゆだねるなど
■最終章:選択と偶然と運命の三元連立方程式
・選択について、自分が持っている思い込みを検証することは大切
・選択の力を最大限に活用するには、その不確実性へ向かい合うための武器である
内容のまとめは上記の感じでしたーーー。
ディスカッションで盛り上がったのは、7章の「重たい決断を他人にゆだねる」のは正解か?というところでした。
この本では、どちらを選んでも選んだことの責任がつきまとうような選択(例:延命治療の終了など)は、だれでも避けたいと考えがち。
と言っているのに対して、「後悔しない決断、決断したこと、決断した自分を肯定する」ことが大事ではないか?という意見が出ていましたー。
読書会の後は、カフェのマスターのヒデさんからビール(有料)がふるまわれて、日が暮れるくらいまで飲み会をしてましたー!
次回は10月28日なので、もしもご興味のあるかたはコメントください。
選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)
- 作者: シーナアイエンガー,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/07/10
- メディア: 文庫
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