読書会報告:「成りあがり」by 矢沢永吉
みなさま、暑い日が続きますね。
そんな暑さにも負けることなく、第12回読書会を行いました。
最近、読書会メンバーの中の「そろそろ自己啓発本、やめようぜ。てか意識高い系とか言われたくないよね。。。」的なノリのもと今回はメンバーの一人の強力な推薦があり、課題図書は『成りあがり』(矢沢永吉)に決定。
成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)
- 作者: 矢沢永吉,稲越功一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/04/24
- メディア: 文庫
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「マジか、まさかのタレント本か・・・」という個人的な第一印象のもと、読書会が始まりました。
そして、黙々と読み進める一同。
読み始めた瞬間から繰り出される「マブいナオン」「ネカ持ち」などの時代を感じさせる独特の言葉遣い。
「なんか、夢だけは持っていこうぜ。そんな部分あるわけよ。その頃も。」など、現代のライトノベルを思わせるような、短文表現の連続。
なんと読みづらき哉!と思いきや、読み進めていくうちに、矢沢永吉の持つパワーというか熱量のようなものに飲み込まれていく。30ページも読み進めると、
「この本、パネェ。マジパネェ。」
ってな感じで、グイグイと本の中へ引き込まれていくのを感じる。
◆あらすじ◆
この本は、現在68歳の矢沢永吉が28歳の時に著した書籍である。(1978年初版)
彼の生まれは広島。育ての母が後妻だったが、母は矢沢が小さいころに出ていってしまう。
父も矢沢が小さいころに亡くなる。父が死んでからは親戚をたらいまわしにされ、
「人っていうのはそういうものだなぁ・・・」と世間の冷たさを感じながら育つ。
一方で、彼には祖母がいて、小学校中学校は祖母に育てられる。
父も母も彼にとってあまり記憶にないが、祖母が受け入れてくれた。彼の自己肯定感は彼女がよりどころとなっている。
矢沢永吉は自分の夢に対してはっきりと向かっていくことになるのだが、その原体験はこのころにあるように感じられる。
幼少期にお金がなくて惨めな思いをして、それにより劣等感などを持っているが、
一方で「俺はこんなところでこんなことをしている人間ではない!」という強力な思いもある。
中学時代には自分から進んで、バイトをしお金を稼く経験をする。
このころに知ったデールカーネギー『人を動かす』は彼の愛読書であり、何度も読み込んだそうだ。
そして、中3の思春期に初恋を。そして文通からの失恋という、甘酸っぱい経験もしたそうだ。
高校から上京し、彼は音楽活動にのめりこんでいく。
一番最初のバンドが出来上がるまで、やる気はあるので、集められる仲間を集める。何とか人前に出て歌う。
「自分の実力を知り、行動することがビッグになる」ために必要だと言い聞かせる。
彼の熱量はすさまじく、例えばめぼしいメンバーを他のバンドから引き抜く。バンドのメンバーが去っていく中で、メンバーの両親へ頼み込み、バンドのリーダーとしてメンバーを集め、圧倒的な熱量で活動していく。
ワンピースのルフィを連想させるような破天荒さと、一方でがむしゃらに音楽にのめりこみ、実力をつけていく姿がしっかりと描かれている。
このころ、作り上げたバンド「ヤマト」はディスコブームの終わりとともに一度解散することとなる。
そして、彼をスターダムへと押し上げる「キャロル」を結成する。
本当の友達というのは一回別れなきゃいけない。
それで再び会うことで、つながる。
ーーーヤマトの解散を振り返り、彼はこう語っている
そして、家族について、ヤマトでの活動からキャロルでの活動にあたり、彼には家族ができた。苦しい時期を共に乗り越えられる妻である。
そして、妻が身ごもったくらいのタイミングで、なんと幼いころに出ていった母と再会。
貧乏なんだけれども、母に対して1000円の寿司でせいいっぱいのおもてなしをする。
しかし、そんな母親も若くしてこの世を去ってしまう。
キャロルが始まって、バンドは一気にスターダムを駆け上がっていく。
一方で、バンド内の人間関係がどんどんこじれていく。
ある日、メンバーに活を入れ、「よっしゃ。気合を入れてもう一度やり直そう」という話をしようとした瞬間、バンドのメンバーから解散の意思を伝えられる。
さらに、バンドを組んでいく中で信頼している人に裏切られる。
芸能界の「ミカン箱の上の」商売の中で印税や違約金などのビジネス周りの汚い人間関係にも辛酸をなめさせれているそうだ。
「いまでもキャロルを思い出すと口が苦くなる」
彼は本の中でそのように振り返っている。
そして、矢沢永吉がソロとして活動を始める新たな出発が描かれつつ、彼の成功哲学が紹介される。
矢沢の3ステップの法則
・散々な目に合う
⇒はっきりとした目的意識を持つ
ファンは正直
はぐれ者が反撃して成り上がる
レコード会社へ頼るな
・落とし前をつける
・余裕
最後に、この本のは糸井重里氏のコメントが載っている部分も非常に面白い。
糸井重里氏のコメント
彼はスターでも人工衛星でもなく、スーパースターである。
(圧倒的な熱量の塊である)はぐれている奴が読むべきである。
人間の一生とはトーナメントではなく、リーグ戦である。
「成り上がり」の対義語「ぶら下がり」
その後、読書会メンバーによる感想戦の中では、天才はなぜ生まれるのか?
天才と秀才はどう違うのか?生き方の効率のよさなど、ライフデザインに関連した激論がありました。
生き方の「熱量」というキーワードを感じさせる読書会でした!
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/13
- メディア: ハードカバー
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